大人がやさしくなれば

エッセイ

朝、こんなニュースを見ました。小学1年生の時に発達障害があり、読み書きに困難があると告げられた少年。文字を図形のようにしか認識できないという学習障害のため文字が書けないそうです。学校の授業が苦痛になり、教室でも孤立。いじめに遭うようになりました。自分に自信がなく、死ねとまで言われ、毎日が苦しかったと言います。ところが小学5年生の時に転機が訪れます。障害のある子供たちが参加する研修会で初めてタブレット端末を手にすると、文字をすらすらと打つことができたのです。これなら他の子と同じように学ぶことができる!しかし当時通っていた小学校では前例がなく、タブレット使用は認められませんでした。そこでタブレットをインターネットに接続せず、ゲームができないように設定し、授業のノートをとるためだけに使うと交渉。1年かけて使用許可を得ることができました。タブレットを使うようになってから成績はぐんぐん上昇。現在は慶應大学で起業家になるために勉強をしていますということでした。

「周りの大人の目が変わると嬉しいかな。周りの大人の目が、その子に優しい目を向けてくれれば、おのずと周りの生徒も優しい目を向けてくれるんじゃないかなと思います。」青年になった彼の言葉です。隣でうなずくお母さんと一緒に、私もうんうんとうなずいていました。小学1年生という幼い時期から実質6年生まで、長い間苦しい時間を過ごしましたね。お母さんもどれほど苦しかったことでしょう。何の韓国ドラマだったか思い出せないのですが「優しさはもっとも手堅い投資」というセリフがあって、私の中のパワーワードなのです。大人の世界でも、異質と感じた人を排除する風潮がありますよね。大人がそんなことをやっていたら、子供は迷ってしまう。恐ろしいのは真似してしまうこと。大きな損失です。世の中、みんな優しい気持ちで過ごす時間が増えるといいなぁと思った朝でした。

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