乳頭温泉

秘湯 エッセイ

乳頭温泉に行って来ました。

ある日、旦那さんが「行ってみたい温泉は?」と言うので「乳頭温泉!」と答え、数日後に「〇〇日、行くよ!」え?え?本当?来週じゃん!生きているうちに、いちどは行ってみたい所のひとつでしたが、きっと、行けずに死ぬんだろうなぁと思っていたのでした。

我が家の旅行は、いつもうつこが計画して、旦那さんが従うパターンでした。どっちがいい?って聞いても、いいよ任せる…つまんないなぁ、なんだよ、その無理やり合わせてる感…と、面白くない思いをしていたものでした。行ってしまえばそれなりに楽しんで「ママのおかげです。」と言ったりもしてましたが。旅行自体が10年以上ぶりでしたが、めったに休みの取れない旦那さんが、連休を取れたこともあり、今回は初プロデュースしてくれました。

お宿は『鶴の湯』

「でもなぁ、ママ泊まれるかなぁ?エアコンも、TVも、冷蔵庫もないからね。虫も出るよ。覚悟してね。YouTubeでも見れるから確認しといてね。いやだったら、今なら普通のホテルにも変えられるから。」と言われたのですが、一切見ず。帰って来ると、ここだよと、色々説明してくれるのですが、うんうんと、生返事のうつこに「全然、予習してないじゃん。」昔のうつこと立場が逆転です。

自律神経失調症をわずらってからのうつこは、ひきこもりの毎日で、手抜き家事はするけど、ほぼ何もしてない毎日。旅行は嬉しいのですが、日常ではないことが起きると、妙に緊張して異様にドキドキするのです。何とも言えない不安感に包まれる。加えて、物事に希望をもってはいけない的なストッパーが働くのです。だから心のどこかで、本当に行けるか分からない。悪いことはきっと起きる…って気持ちを抱いてましたね。ストレスを手放せない感じです。なので、まず高速に乗っても怖い。今までは動画見たりしていたのに、すぐに消してしまったり、景色を楽しみたいのに、なぜかそれも怖い。車を追い越すのも、追い越されるのも怖い。安全運転してくれているので、決して口には出しませんでしたが。その時、ふと母を思い出しました。彼女も高速で怖い怖いと、騒いでいたっけなぁ…当時、運転手だったうつこは「うるさいな、もぉ~!大丈夫だよ!」と怒ってましたが、今思うと、彼女も病気だったのかも知れないなぁ…なんて思いました。

田沢湖に到着。「うわぁ、きれい!」と、思わず言ってしまいました。少しモヤっとしていたのですが、深い緑と青が素晴らしくきれいでした。お天気も良かったので余計きれいでした。そして、たつこはどこだ???湖に沿って車を走らせると、たつこ像まで9キロの標識。9キロって結構だよねぇと、言いながらとりあえず走ることに。なかなか狭い山道のような道路。落ちないでねと言いながら、まだかな、本当にあるのかなと言いながら、スタート地点で湖の対面に見えたホテルが見えてきました。「湖、半周したね。」なんて言ってたら「いたーっ!たつこ!」キンキラキンのたつこがいました。にしても、結構距離ありました。標識通り。田沢湖、でっかいね。田沢湖の美しさに、やっと緊張がほぐれたうつこでした。

田沢湖を出て、乳頭温泉郷の標識をくぐり鶴の湯へ。乳頭温泉郷の中でも、鶴の湯だけはちょっと外れたところにあるんですね。今度は本当の山道を通って、舗装道路が終わりオフロード。これはやっぱり、冬は無理だねなんて話していると、鶴の湯離れが見えてきました。「ここは取れなかったんだ。」と旦那さん。「ちょっと新しいっぽいね。」更に山の奥へ奥へと進んでいくと、ここは映画村?と思えるようなノスタルジー感満載の鶴の湯に到着しました。

受付で、お風呂などの説明を受けて、お部屋へ。2階の角部屋でしたので窓が2つ。本当にエアコンもTVありません。コンセントはありましたので、持参した小型扇風機とアースノーマットを設置(ごめんなさい)。楽天モバイルは見事圏外!でも…おお~っ!Wi-Fiがありました。早速、夕食の前にお風呂へ。再び受付前を通ると、次のご一行様が、説明を受けてました。外国人ご夫婦の姿もありました。「月曜日なのに人来るねぇ。」と言うと「空き数わずかだったんだ。」と旦那さんが言ってました。身体を洗えるお風呂にはドライヤーもついていました。夕食はネットで見てた通り、山菜、イワナ、団子汁等々で、うつこ好みで、美味しくお腹いっぱいいただきました。常連さんらしき方や、一人旅の方も結構いましたね。食後は少しお散歩して、またお風呂へ。お風呂は空いていて、のんびり、ゆったり、かなりの時間浸かりましたね。うつこは何をやっても時間がかかって、お風呂も長風呂です。けれど旦那さんは、いつも時間のかかるうつこを待ってくれて、せかしたり、イラっときたりする態度を向けたことないよなぁ…結婚する前からだよなぁ…本当に感謝だよなぁ…と思って、浸かっていました。やべぇ、また待たせてるかも。案の定、ビール片手に待ってましたね。「ごめんね。」と言うと「いいよ。せっかく来たんだからゆっくりして。はい。」と、ビールを渡してくれました。部屋に戻ると、旦那さんが布団を敷き(コロナの関係で布団はお客様にお願いしてましたということで)羽毛布団も出すので「それ要らないんじゃ…?」と言うと「夜は寒いんだ。」と旦那さん。確かに夜になったら、持参した扇風機もつかってないし、お部屋にあった蚊取り線香をつけたので、アースノーマットも外しました。蚊取り線香の方が強そうで。そして夜は本当に羽毛布団が必要なほど、寒かったです。

出発前には、一切何も見なかったうつこですが、帰って来たら、色々と検索してしてみました。『鶴の湯』って、一度は泊まってみたい宿ランキング2位とか、なかなか予約の取れない宿とか人気があったんですねぇ。いやぁ、あらためて旦那さんに感謝です。一方で、接客が最悪とか、料理も大したことないとか酷評もありました。まぁ、老舗旅館のような接客はなかったけれど、そこまでひどい対応とは思わなかったですね。もともと田舎の人は(怒られるかな)、愛想笑いとかもない人もいて、それが普通なのだと思います。旅館業なら愛想よい接客が普通でしょと、思う人には不快となるのでしょうかね。食事も、山菜などは普段いただけないものですし、うつこは満足しましたが。不快な思いをされた方は残念でしたね。楽しむために行ったのに。うつこは旦那さんと、また来ようねと言って帰って来ました。今度はぜひ、他の温泉もまわれる湯めぐりツアーをやってみたいなぁ。冬は怖いと思ったけれど、冬も素敵そうだなぁと思いました。

 

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